共働き・ペアローンでも起きる現実
住宅ローン控除は、
「借りていれば毎年しっかり戻ってくる制度」
と思われがちです。
しかし実際には、
- 控除枠が余っている
- 思ったより戻らない
- 制度は使っているが効果が小さい
こうしたケースは珍しくありません。
住宅ローン控除は、使い切れない人の方が多い制度
と言っても言い過ぎではありません。
住宅ローン控除が「余る」とはどういう状態か
まず前提を整理します。
住宅ローン控除は、
- 年末の住宅ローン残高をもとに計算された控除額
- それを 所得税と住民税から差し引く制度
です。
つまり、
- 控除額があっても
- 差し引く税金が少なければ
使い切ることはできません。
これが「控除が余る」という状態です。
共通点① そもそも納めている税金が少ない
最も多い原因がこれです。
- 年収が低め
- 育休・時短勤務中
- 配偶者控除や扶養控除が多い
こうした場合、
住宅ローン控除を引く前の
所得税・住民税そのものが少なくなります。
控除は「減らす制度」であって、
「足してもらえる制度」ではありません。
共通点② 他の控除が多く、税額がすでに圧縮されている
住宅ローン控除は、
最後に使われる控除です。
その前に、
- 扶養控除
- 配偶者控除
- 医療費控除
- 生命保険料控除
などが適用され、
すでに税額が小さくなっていると、
住宅ローン控除を引く余地がありません。
「控除が多い=お得」とは限らない、
典型的な例です。
共通点③ 共働き・ペアローンでも税額が足りていない
よくある誤解が、
共働き
ペアローン
= 住宅ローン控除を2人分フルで使える
という考え方です。
実際には、
- 夫も妻も
- それぞれが
- それぞれ十分な税金を納めている
この条件がそろわなければ、
控除は余ります。
特に、
- 片方が育休・時短
- 片方に控除が集中
という家庭では、
ペアローンでも控除を使い切れないケースが多くなります。
共通点④ 入居後に働き方が変わっている
住宅購入時は、
- 共働きフルタイム
- 収入も安定
だったとしても、
入居後に状況が変わることは珍しくありません。
- 出産
- 育児
- 転職
- 体調不良
住宅ローン控除は、
将来の変化を自動で考慮してくれる制度ではありません。
結果として、
- 控除枠はある
- でも使えない
という状態になります。
共通点⑤ 控除を前提に住宅ローンを組んでいる
これは非常に重要なポイントです。
住宅ローン控除を前提に、
- 借入額を増やす
- 返済計画をギリギリにする
こうした設計をすると、
控除が使い切れなかったときの影響が大きくなります。
住宅ローン控除は、
確実に使える収入保証ではありません。
住宅ローン控除を「使い切れるか」を考える順番
判断するときは、次の順番が安全です。
- 今後数年の働き方を想定する
- 所得税・住民税がどれくらい出そうかを見る
- 他の控除を含めた税額を確認する
- その範囲で住宅ローン控除がどこまで使えるか考える
この順番を逆にすると、
過大評価しやすくなります。
まとめ
住宅ローン控除が使い切れない人には、
はっきりした共通点があります。
- 税金をあまり納めていない
- 他の控除が多い
- 働き方が変わっている
- 控除を前提にローンを組んでいる
住宅ローン控除は、
あれば助かる制度ではありますが、
家計設計の柱にはなりません。
控除が使えたらラッキー、
使えなくても困らない。
この距離感で考えることが、
結果的に一番安全です。



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