変動・固定を「金利」ではなく「家計耐性」で考える

住宅ローンを考えるとき、

多くの人が最初に気にするのは

「変動金利と固定金利、どちらが得か」という点です。

特に最近は、

日銀の金融政策の転換や利上げの話題もあり、

「変動は危ないのではないか」

「今から固定にすべきか」

と不安を感じている人も少なくありません。

ただし、

金利タイプの選択は

将来の金利を当てるゲームではありません。

重要なのは、

その金利変動に自分の家計が耐えられるかどうかです。

変動金利と固定金利の違いを整理する

まず、前提を整理します。

変動金利

  • 金利が低く始まりやすい
  • 金融政策の影響を受ける
  • 将来、返済額が上がる可能性がある

固定金利

  • 金利は変動より高め
  • 返済額が最後まで変わらない
  • 将来の金利上昇リスクを負わない

どちらが「得」かは、

結果論でしか分かりません。

日銀の利上げ局面で起きていること

最近の金融環境では、

長く続いた超低金利から、

少しずつ金利が動く可能性が意識されるようになっています。

ここで重要なのは、

  • 利上げがあるかどうか
    ではなく
  • 利上げがあったときにどうなるか

です。

変動金利を選んでいる場合、

金利が上がれば、

  • 毎月の返済額が増える
  • 家計の固定費が増える

という形で、

確実に生活に影響します。

お金に余裕がない人ほど固定金利が向いている理由

一見すると、

  • 返済額が低い変動金利
    の方が、
    お金に余裕がない人向きに見えます。

しかし、

実際は逆の側面があります。

返済額が上がるリスクに耐えられない

家計に余裕がない場合、

  • 返済額が数千円〜数万円増える
  • その増加を吸収する余力がない

という状態になりやすいです。

固定金利であれば、

  • 返済額は最初から分かっている
  • 将来も変わらない

ため、

家計の見通しを立てやすいというメリットがあります。

精神的な負担が家計を圧迫する

変動金利は、

  • 金利ニュースを気にし続ける
  • 「また上がるかもしれない」と不安になる

という、

精神的なコストがかかります。

家計に余裕がない状況では、

この不安が生活の満足度を下げ、

結果として判断ミスにつながることもあります。

「低金利で浮いた分」を貯められない現実

変動金利が有利になる前提として、

よく言われるのが、

低金利で浮いた分を貯蓄や繰上返済に回せばいい

という考え方です。

しかし、

家計に余裕がない場合、

  • 浮いた分が生活費に消える
  • 貯蓄に回せない

というケースが大半です。

この場合、

変動金利のメリットは実現しません。

変動金利が向いている人の条件

一方で、

変動金利が合理的な人もいます。

  • 収入に十分な余裕がある
  • 返済額が多少増えても生活に影響がない
  • 金利上昇時に繰上返済できる資金がある
  • 精神的に変動を気にしない

これらがそろって初めて、

変動金利の「低さ」を活かせます。

住宅ローン減税との関係で注意したい点

住宅ローン減税がある間は、

  • 金利の低さ
  • 控除の効果

に目が向きがちです。

しかし、

住宅ローン減税は期限のある制度です。

控除が終わった後も、

ローン返済は続きます。

その時に、

  • 返済額が不安定
    なのか
  • 最初から固定されている
    のかは、
    家計への影響が大きく変わります。

金利タイプは「得か損か」では決めない

金利タイプの選択は、

  • 金利予想
  • 周囲の意見

で決めるものではありません。

考える順番としては、

  1. 返済額が上がったら家計は耐えられるか
  2. 不安定な支出を抱えても冷静でいられるか
  3. 固定費が増えることをどう捉えるか

この問いに

自信を持って答えられるかどうかです。

まとめ

変動金利と固定金利は、

どちらが正解という話ではありません。

ただし、

  • 家計に余裕がない
  • 将来の変化が多い
  • 固定費の増減に弱い

こうした場合、

**固定金利は「守りの選択」ではなく「合理的な選択」**になります。

金利は上下しますが、

生活は一度崩れると立て直しに時間がかかります。

住宅ローンは、

最も長く付き合う固定費です。

「一番低い金利」ではなく、

一番安心して払い続けられる形を基準に考えることが、

結果的に後悔の少ない選択につながります。