「新NISAを始めよう」と決意したとき、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが、普段給料が振り込まれているメインバンクの窓口ではないでしょうか。よく知っている銀行だし、窓口で教えてもらえるなら安心、と感じるのは自然なことです。

しかしFPとして断言します。その「なんとなくの安心」は、将来的に数十万〜数百万円の損につながる可能性があります。銀行の窓口担当者は親切なアドバイザーであると同時に、金融商品を売る販売員でもあります。この記事では、感情論ではなく3つの数字で銀行とネット証券を比較します。

数字1:取扱本数の圧倒的な差

新NISAで投資できる投資信託は世の中に6000本以上あります。しかし、どの金融機関を選ぶかで買える商品が劇的に変わります。

金融機関 つみたて投資枠の取扱本数
大手銀行・地方銀行 10〜30本程度
主要ネット証券(SBI・楽天など) 200本以上

「多すぎても選べないから、銀行が厳選してくれた方がいい」と思うかもしれません。しかし問題は厳選の基準です。銀行のラインナップには、世界中の投資家が選んでいる超低コストの優良ファンドが含まれていないケースが多くあります。

理由はシンプルで、低コストファンドは銀行にとって手数料収入が少ないからです。代わりに並んでいるのは、銀行系列の運用会社の商品や、銀行側に手数料が多く入る商品です。銀行の窓口に行った時点で、最良の選択肢が最初から除外されている可能性があります。

数字2:信託報酬の差が生む将来の損失

信託報酬とは、投資信託を保有している間ずっとかかる手数料です。年率で表示され、毎日自動的に差し引かれます。

ファンドの種類 信託報酬の目安(年率)
ネット証券で買える最安クラス 0.05〜0.1%
銀行窓口で勧められやすいファンド 0.5〜1.0%

年率0.5%の差は小さく見えますが、長期運用では大きな差になります。例えば毎月3万円を20年間積み立て、年利5%で運用した場合、信託報酬0.1%と0.6%の差は約80万〜100万円にもなります。

この差額は、窓口の「安心感」に支払う対価としてはあまりにも高額です。新NISAの仕組みを理解すれば、ネット証券でも迷わず始められます。

数字3:ポイント還元の有無

主要ネット証券では、投資信託の保有残高に応じてポイントが還元される仕組みがあります。例えば楽天証券やSBI証券では、保有残高に対して年率0.02〜0.05%程度のポイントが付きます。

銀行ではこのようなポイント還元はほとんどありません。信託報酬が高い上にポイント還元もない。つまり銀行で始めると、コストが高く、リターンも少ない二重のデメリットを負うことになります。

「窓口の安心感」の正体

銀行窓口を選ぶ最大の理由は「相談できる安心感」です。しかし、この安心感には注意が必要です。

窓口の担当者は金融のプロですが、同時に販売ノルマを持つ営業担当でもあります。勧められる商品が、あなたにとって最適な商品とは限りません。手数料の高い商品を勧められる可能性は常にあります。

相談が必要なら、販売を伴わない独立系FPに相談する方が、利益相反のないアドバイスを得られます。相談料は数千円〜数万円ですが、信託報酬の差額で失う金額に比べれば圧倒的に安い投資です。

ネット証券は本当に難しいのか

「ネット証券は操作が難しそう」という不安も多く聞きます。しかし実際には、口座開設はスマホで10分程度、つみたて設定も画面の指示に従うだけで完了します。

証券口座の選び方で解説している通り、楽天証券やSBI証券は初心者向けのUIが充実しており、チャットやコールセンターのサポートも整っています。一度設定してしまえば、あとは毎月自動で積み立てが行われるため、日常的に操作する必要はほとんどありません。

銀行からネット証券に移管できるか

すでに銀行でNISA口座を開設してしまった方も、変更は可能です。金融機関変更の手続きを行えば、翌年からネット証券でNISAを利用できます。ただし、同じ年内での変更はその年に一度もNISA枠を使っていない場合に限ります。

現在銀行で保有している投資信託はそのまま銀行の口座に残りますが、新たな買い付けをネット証券で行うことで、今後のコストを下げることができます。

まとめ:新NISAは「どこで始めるか」で差がつく

新NISAで最も重要な判断の一つは、どの金融機関で始めるかです。取扱本数、信託報酬、ポイント還元の3つの数字を比較すれば、ネット証券の優位性は明らかです。

窓口の安心感に数十万円を支払うか、少しの手間をかけてネット証券で始めるか。税金の基本的な仕組みと合わせて、合理的な判断をしてください。

楽天証券は新NISA口座開設数No.1で、楽天ポイントで投資信託が購入できます。参考として、新NISAの始め方に関する書籍も出版されています。